HOPE FOR
震災の翌年、荒浜の海岸には、数え切れないほど多くの人が集まっていた。その場にいた人たちへ声をかけ、皆で色とりどりの風船を一斉に飛ばした。中には涙を流す人、手を合わせる人もいて、声はなくとも灰色に見える町に思いが馳せた瞬間を目の当たりにした。
それからの3月11日元地域住民や海辺の町を訪れる方々が荒浜小学校の校庭に集い、「HOPE FOR」と書かれた花の種が入った風船を一斉に飛ばす。もう住むことは叶わなくとも集える場所や帰る場所が年に一度でもあること。言葉はなくとも旧交をあたため、思いを馳せる時間が今も続いている。